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教育講演会

●テーマ:「平成24年度第8回教育講演会」
●日時: 2012年12月7日 13:35~16:00
●場所: 石巻中学校体育館及び教室
●講演者:
基調講演:
講演者⇒渡辺総一氏(18回生)宗教画家
演題⇒「美と真実を求めて――キリスト教美術への旅――」
分科会:
10名の講師
*別紙参照


第8回教育講演会開催される!
「迷いの中にも素晴らしい出会いが!」
「美と真実を求めて」 宗教画家 渡辺総一さん(18回生)

今回の講演会は12月7日(金)に石巻中学校の体育館及び教室で行われた。
震災から1年半を経てなかなか進まない復興状況の中で一歩一歩着実な歩みを感じた今回の訪問となった。
第8回になる講演会には石巻中学校の全生徒(333名)及び教職員そしてOBOGの方々が出席して講演者の話に聴き入った。

<基調講演:>
基調講演は18回生の宗教画家の渡辺総一氏である。「単純化と象徴化」を窮めて独特なキリスト教抽象画の世界を創り上げてきた。従来から活発な創作活動をしてきており数多くの個展も開催している。現在では国内はもとより世界の教会や大学で多くの絵画が展示されており各方面から高い評価を得ている。

以下にその講演概要をご紹介する。


講演要旨:
中学時代から、自分にふさわしい仕事はなんだろうと捜すうちに、キリスト教と美術に出会いました。そうして、キリスト教美術の制作は自分の天職だと思い、絵画教室を開きながら、30年歩んできました。この道程は折々に出会った方々に支えられ、導かれてきたものです。皆さんにも素晴らしい出会いがあると信じています。

1, 悩みの中で― 自分の天職が見つかるまで
わたしは小6の時に色弱と告げられて、それ以降美術や理科から文化系へ進路を変えざるを得ませんでした。しかし、大学を卒業し社会人になってから、ようやく美術という賜物に向き合い、受け入れることが出来ました。美術学校で学んでから、キリスト教美術という分野で働くことに導かれました。

2, 美術とキリスト教との出会い
幼稚園生の頃から「日曜写生会」に通うようになり、それ以来小6まで美術はわたしの生活の不可欠な部分でした。しかし、それ以降は、美術以外で自分にできることは何かと必死で求め続けました。そんな中で大学の社会学の講義で教えられたキリスト教に強い関心を持つようになったのです。

3, 聖書との出会い
大学4年の時、聴講していた政治学の宮田光雄先生から、学生聖書研究会に誘われました。それがきっかけで、聖書を読むようになり、聖書から自分はどのように生きるべきかを問われるようになりました。わからないことが多かったけれど、聖書の中に真実があるように思えたのです。

4, 美術との再会とキリスト教美術へ
漠然とキリスト教と美術とは相いれないものと考えていましたが、A.デューラーの生き方に示唆を受け、自分の信仰を美術を通して表現する、キリスト教美術という分野で制作することが、自分の仕事だと自覚しました。

5, 単純化と世界へのひろがり
初めのうちは写実的な表現を試みていましたが、事柄の本質的なことだけに絞り込ん行くような表現に変わっていきました。それは単純化と象徴化を用いる方法でした。新しい創作は孤独の中で行われますが、次第に日本のキリスト教美術協会とのつながり、またアジアのキリスト教美術、そしてさらに欧米のキリスト教美術界へと交わりが拡がっていきました。

6, 自分を捨てるということ
絵の制作では、自分から解放されて初めて、自分らしさが出るということがあります。その逆説はわたしが最初に出会った聖書のことばに通じるものでした。

7, 出会いの恵み
絵を描く仕事につき、ささやかに続けてきたこれまでの歩みは、しかしながら、その折々に出会った多くの方々によって、可能となったものです。皆さんもきっと迷いや悩みの中でも、素晴らしい出会いがあり、豊かに人生を送れると信じています。


<第二部の「分科会」>
第二部は10名の講師の方々が教室に分かれて分科会が開かれた。様々な専門分野において人生観・教訓が披露された。生徒たちは個々に関心のあるテーマ(会場)を選び先輩の話を熱心に聴いていた。

分科会 講師名 講演内容
八幡家 代表取締役 ※老舗日本料理店
阿部 紀代子 氏
「食について」
ゼン・インターナショナル代表取締役
木村 美保子 氏
「旅の話 アジアの中の日本人」
東北プランニング 代表取締役 
※広告代理店

熊倉 一徳 氏
「広告という仕事について」
齋武商店 代表取締役社長 
※産業廃棄物処理業

齋藤 祐司 氏
「再生エネルギーってなんだろう?」
石巻青年会議所 理事長
大丸 英則 氏
「まちづくりとひとづくりについて」
平孝商店 代表取締役 ※老舗造り酒屋
平井 孝浩 氏
「日本の文化 酒造りについて」
NPO法人いしのまき環境ネット 
理事 天津神大龍神宮宮司

齋藤 義樹 氏
「地域の環境保護活動について」
「神社の宮司の仕事について」
積水ハウス仙台シャーメゾン支店 
石巻復興オフィス支店長

渡邊 信一郎 氏
「営業の仕事について」
NPO法人TEDIC代表 早稲田大学大学院生
門間 優 氏
「大学生活とNPOというお仕事」
10 NPO法人ワーカーズコープ 
西新宿児童館館長

村上 俊 氏
「震災とNPO活動」

<生徒からの感謝のメッセージ>
生徒たちからは今回の教育講演会に関するメッセージが寄せられた。「新鮮な驚き」「運命的な出会い」「多くの人への感謝」「きっかけは身近なところに」「自分を空っぽに」等の心に残る様々な感想が聞かれました。生徒の皆さんに少しでも将来を考える場となったものと感じられた。

 私は美術に種類があるとは思わなかったので、「キリスト教美術」という絵があると聞いたとき、びっくりしました。そして、「キリスト教美術協会」ということがあることにも驚きました。

 実際に渡辺総一先生が描いたキリスト教美術の絵を見ると、「笑うようになる」や「泣く人と共に」という作品の人に目や口がついていないことに気付き、とても不思議に思いました。

 もう一つ気付いたのは、絵の表面が波のようにジグザグになっている作品があったことです。私は、最初「キリスト教美術」と聞いてピンときませんでしたが、このような作品を見て、キリスト教美術の特徴がよくわかりました。

 私は、これからも多くの方々との出会いの素晴らしさを感じながら成長していきたいと思いました。
                                (1年 I.F)

 私は、渡辺総一さんのお話を聞いて、キリスト教は奥が深いんだなぁと実感しました。キリスト教美術というものを初めて知りましたが、その絵の素晴らしさに驚きました。

 私は将来何をしたいのか、なりたいのかまだ曖昧ですが、渡辺先生が美術を続けながら、たまたま聖書に出会ったように、「きっかけ」は本当に身近なところにあるのだなと思います。

 そしてその身近な出会いは、渡辺さんかもしれないし、学級の友達、これから出会う友達かもしれません。

 これまでの、そしてこれからの出会いに感謝しながら「渡辺さんの聖書」のようなきっかけを探して、生きていきたいと思いました。
                                (1年 U.D)

 仏教が主な日本人にとって、キリスト教はクリスマスなどの行事でしか、関わりがなく、あまり興味もなかったが、今回の講演を聞いて、「キリスト教美術」についてもっと知りたくなった。

 「自分を捨てて生きる」という言葉には驚いたが、その意味は深くとても難しいものだったが、説明を聞いているうちに納得することができた。

 「自己主張せず、自分らしく生きる」、また絵を描く上でも「先入観でデッサンするのではなく、自分を空っぽにする」ことは、今後の参考にしたいと思う。

 一番印象に残ったのは「多くの方に感謝する」です。私はまだ14年しか生きていないが、たくさんの人に支えられ、ここまできた。

 「出会いを通して成長できること」これは大きいものだと改めて実感した。今回学んだ多くのことをこれからの学校生活に進路に生かしたいと思う。
                                (2年 K.T)

 私は、将来についてもう一度深く考えたいと思いました。自分にふさわしい仕事がいったい何なのかまだ見極めることはできませんが、自分にふさわしい仕事とは、自分で見つけることもできるし、なんらかの運命的出会いもあると思います。

 今のうちからしっかりと考え、渡辺さんのように天職と思える仕事に就きたいと思いました。何かに出会うということは、自分の世界を広げたり、未知なものにふれたりと多くのことを学ぶことができる大切なものだと、自分の中の教訓として、これからの出会いを大切にしたいと思います。

 渡辺さんは多くのことを聖書から見出していらっしゃったようなので、一度私も聖書なるものを読んでみたくなりました。
                                (2年 N.Y)

 キリスト教美術というものがあるということを、今日初めて知りました。渡辺さんは中学生のとき、将来について悩んでいましたが、大人になってから自分のやりたいことに出会い、約30年今のお仕事を続けているとおっしゃっていました。私も将来のことについて全然決まっていなくて悩んでいます。

しかし、渡辺さんのようにいろいろな人に出会い、考え、自分の将来について決めていきたいと思います。渡辺さんの絵は、抽象的でその絵の意味がよく伝わってくるものでした。「嵐の中で」というタイトルの絵は個人的に非常に気に入りました。

 最後に、渡辺さんが私たちにおっしゃっていた言葉「出会いを通して成長してほしい」を心に留めて、今後生活していきたいと思います。
                                (3年 Y.O)

 私も今、将来の夢ややりたいことが明確に決まっておらず、迷子になっているので、今回のお話はとてもためになりました。

 今、将来の自分が視界に入っていなくとも、他にはたくさん選択肢があるのだなと思うことができました。高校に入っても、中学でたくさんの出会いがあったように、たくさんのよい思い出があればいいなと思いました。

 今までの素敵な出会いと、これから訪れる出会いを大切にして、自分の本当にやりたいこと、向いていることを見極めながら、進んでいきたいと思います。今回のお話を聞くことができてよかったです。ありがとうございました。
                                (3年 M.H)  

<講演会後に起こった地震の対応に感動>
教育講演会が無事終了して体育館・教室の後方付けを終えて校長先生と打ち合わせをしている中、17:18に大きな揺れが起こった。けたたましく鳴る津波警報のサイレンと同時に周りの先生方に緊張が走った。テレビからは緊張し、大声で叫ぶアナウンサーの避難の呼びかけがあった。
校長先生、教頭先生、先生方の行動は速やかだった。

1, 在留生徒の点呼、安否確認。
2, 先生方が校門を開放してグランドおよび体育館に避難者(車)を誘導。
3, 体育館に暖房、等の避難所つくり。
4, 生徒と家族との連絡。

(そして非難解除)

1, 避難者・車・生徒の帰宅誘導。
2, 体育館(避難場所)の整理・かたずけ。
3, 教室の被害。安全確認。
4, 先生方の集合・最終確認。
5, 解散。

校庭から戻ってきた先生方は震えの止まらない身体ではあったがその安心感からでる微笑に感動を覚えた。一連の行動は先生方が持たれている石巻中学校として果たさなければならない使命感の表れた象徴的な出来事であった。

(同行者:加藤友成作成)

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